祝・18年ぶりのトヨタ優勝に憂慮

今年からWRCに本格復帰したトヨタ(TGR)が、復帰一戦目のモンテカルロでの2位に続き、二戦目のスウェーデンで優勝した。

知的な苦労人・ラトバラが5年ぶりの優勝をしたことも喜ばしい限りだが、やはりトヨタが優勝したことは大変嬉しいニュースだ。

今年からVWが居ないという事も有るだろうし、車は非常に速いのに、ドライバーのミスで2戦連続リタイアとなったヒュンダイの敵失も考慮する必要は有るだろうが、リザルトとして残ったのが「復帰2戦目で優勝」という事実には変わりが無いので素晴らしい事ではある。

だが、こんなに簡単に優勝してしまっては面白くない。

本来ラリーという物はそんなに簡単に勝てる物では無いのだ。

心配なのは、ラトバラというドライバー

とはいえVWがラリーに本格参戦する際にも同様に連勝からスタートしたことも忘れてはいけない。

強い信念を持ち入念に準備を重ねて臨めば、参戦初年度からタイトルを獲得することは不可能なことでは無い。2011年にフル参戦を表明。2013年の初戦モンテカルロで前年チャンピオンの優勝に続く2位。続く2戦目のスウェーデンで優勝、という所までの流れはほぼ同じだ。

しかし、相手はあのラトバラである。

彼のドライビングテクニックとセンスは大変定評があるが、それと同時にメンタル面で大きな弱点を示したことも一度や二度では無い。

フォード在籍中の2009年ラリーポーランドで、首位を快走していた最終SSに於いて大きなクラッシュを喫し、一瞬で優勝をフイにしてしまったこともある。あの時のマルコムウィルソンの失望ぶりは目を覆うほどだったが、そう言うことを敏感に感じてしまう繊細なところの有るラトバラも、あのショックが尾を引いていたかもしれない。

この事が原因と言われる翌年はセカンドドライバーへの降格も甘んじて受けていたが、逆にこの事がプレッシャーを感じること無くマイペースでドライブに集中する事が出来る事に繋がり、この年は選手権2位で終えている。

しかし常々、ほんの少し予定外のことが起こるだけで精神的なリズムを壊してしまい、ズルズルと下位に沈む事も多く見られる。

大きく期待されるとプレッシャーに押しつぶされ、注目されなくなると実力を発揮するという、なぜか日本人によく見られるタイプのメンタルの持ち主に見受けられることが懸念材料だ。

わずか2戦目で優勝してしまった事が大きなプレッシャーになるのではないだろうか?

しかし、最初の2戦は雪と氷の特殊な舞台で第三戦から本格的なラリーが始まるという事を考えると、ラトバラとしては、ここから2017年が始まるくらいの気持ちの切り替えが必要かもしれない。

何と言ってもTGRは、まだ若いチームで有り、監督を務めるのもこれが初めてのマキネン。ドライバーとしては4度の世界チャンピオンという素晴らしい実績を残している上に、同郷と言うことでラトバラからの信任も厚い様だが、この早い段階での優勝が、実は今季のピークだったという事の無いように願いたいものだ。

かつてのプジョーワークスを支えたジャン・トッドもスバル黄金期の監督だったデビット・リチャーズもそうだが、過去の名監督と言われる人物達は皆、ナビゲーター出身だったという事も気になる所だ。

WRCでは、ナビゲーターという人物が、ドライバーも含めて全体をマネージメントする必要が有る為、自ずとチーム運営にも長けてしまう、というのが通説だが、過去の例はそれを裏付けるものだ。

ワルター・ロールやカルロス・サインツ、、セバスチャン・ローブ、ペター・ソルベルグなど、現役を退いても他方面で活躍するドライバーは多いが、監督として結果を出した人物はオベ・アンダーソンなど少ないので、マキネンには本当に頑張って貰いたい。

オベ・アンダーソン監督の時には、二度の世界チャンピオンになったスペインの英雄、カルロス・サインツが大きく躍進したが、彼も最初の内は「早いけどクラッシュが多い」問題児だった事を思うと、ドライバーが監督するチームの方がやりやすいドライバーというのも居るのかもしれない。

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