ハンドルが正面に無い!!

あなたの車、ハンドルが正面に有りますか?

はぁ?何を当たり前の事を?と思われるだろうか?

しかし、長年の自動車好きが高じて、国産・輸入問わず、既に40台を超える車を乗り継いできた筆者が、車に乗る度に思うのが、

「ハンドル(ステアリングホイール)が正面に無い!」

という事実だ。

当たり前の事だと思うのだが、どうしてシートの真正面にハンドルがないのだろうか?
そして、どうしてみんな、この事が気にならないのだろう?
みんな、上半身が左に傾いている、とか、左手の方が右手より少し長い、という訳でも無いだろうに・・・

ちゃんと正面にありますけど?

この疑問について周りの人間に話を振ってみると、むしろこちらが変人扱いされることも有る。

理由は明白。

通常、ステアリングホイールは正面に鎮座している。当たり前だ。
しかし、ここで言っているのは、「真正面に無い」という事である。

試しに今度、車に乗った時にでも確認して貰いたいが、
シートに、腰と背中をシッカリ預けて正しく座り、目を閉じて両手を前に突き出したら、そこにステアリングホイールは有るだろうか?

もしかすると、左手はステアリングに当たり、右手は空振りになるのではないだろうか?

つまり、シートの中心に比べて、ステアリングホイールは少し左に寄せて設置されている、という事だ。

意外かもしれないが、ホンダやマツダなど一部を除き、ほとんどの右ハンドル車で、程度の差はあれどほぼ同様の結果になるので、是非、試して貰いたい。

もし、バケットシートなどが装備されていれば、体がしっかりホールドされてしまう分、余計に強い違和感が生まれることだろう。

10時10分が基本

「ステアリングホイールは10時10分の位置で保持すること」

教習所で講習を受けた際に一番に習った「重要なポイント」はドライビングポジションであり、BMW等のドライビングスクールなどでも同様に教えてくれる、非常に重要な事だ。

ステアリングホイールを時計に例えて、10時10分(正確には10時08分、かもしれないが)の位置に両手を添えてステアリング操作を行うことで、左右均等に力を入れて操作することが出来る、正確さと操作性を兼ね備えた、非常によく考えられた、自動車運転における基本中の基本である。(もちろん、シートに深く“腰”掛ける事も重要。)

それなのに、いざ、市販されているほとんどの車を運転するとなると、何故か10時10分のポジションを取ると、上半身が少し左に傾いてしまうのだ。

これっておかしくないか?

片手で運転しろ、とでも言っているのだろうか?

やろうと思っても出来ない?

もちろん、過去には、構造上の制限という理由も有ったかもしれない。

あまりにもステアリングホイールを右に寄せてしまうと、ドアの内張りに右手がぶつかってしまう、とか、ウインカーレバーなどの操作に於いても、右手のクリアランスを考えると、「○○センチの余白が必要」などの設計指針が有るのかもしれない。その数値から逆算すると、どうしても、多少は右に寄せる事に制限が有ったのかもしれない。

しかし、昨今、モデルチェンジごとに車が大きくなっていく中で、どう見ても室内空間に余裕はありそうなのに、というか右手の余白が相当大きいにも関わらず、ステアリングホイールだけが、相変わらず中央に寄せて据え付けられているというのは、どうにも解せない。

ましてや、大径のステアリングホイールで無ければ重くて操舵できなかったパワーステアリングが無かった時代ならともかく、

軽々回せる強力なパワステが当たり前の時代なのだから、小径のステアリングホイールを使う事でスペースを稼ぐことなど、本来は余裕だろう。そうでなくても小径スポーツステアリングを付けたがる傾向に有る様に見えるのに。

こうなってくると、(考えたくないことではあるが)次のような疑問がわいてくる。

もしかすると、インパネの設計とシートの設計が違う部署で別々に行われており、それを本来なら統括するべき立場の部署では、人間が乗った状態での操作上の整合性については全くチェックをしていないのでは無いだろうか?

「たまたま、そうなっている」と考えるには、あまりにも多くの車が同じ症状を抱えているのだから、気になりだすと停まらなくなってくる。

もちろん、一部、例外は有る。

最近の車であれば、特にマツダがドライビングポジションにこだわって、人間工学的視点を重視して設計されており、シートのセンターとステアリングホイールのセンターが一致しており、尚且つ各ペダルも足を自然に伸ばしたところに生えている。
設計段階だけではなく、「実際にちゃんと乗ってみて、違和感が無い」という事を確認しているのが分かる。想定体型はこれくらいかな?という事も想像が付いてしまう程だ。

理想的なドライビングポジション(運転姿勢)とは何かを追究する活動はマツダのクルマづくりの核をなす思想です。長年研究を続けてきた車両実研部 大坪智範がその思想を語ります。

機会があれば是非乗ってみて貰いたいが、当たり前に自然に手足を動かすことが出来、この事が運転のストレスを軽減し、操ることの楽しさに繋がっている事をスグに実感できるだろう。

また、2016-2017年度カーオブザイヤーを受賞した、各メディアで大変評価の高い新型スバルインプレッサも、ステアリングホイールが従来のモデルに比べて、かなり右に寄せて据え付けられていた事には驚いた。旧型やレヴォーグなどから乗り換えると、逆に違和感を持つほどだ。

何故なら、一つ前の世代までは、やはり左に数十ミリ単位でオフセットされていたからだ。
やれば出来るじゃ無いか。

死角が少なく見晴らしの良い視界、しっかりと乗員を支え長時間のドライブでも疲れにくいシート、直感的に操作でき運転に集中できるインターフェースなど、事故を起こしにくいクルマを目指したインプレッサ SPORTの0次安全についてご紹介します。

ドイツ御三家の優位性

ドイツ車を信奉する信者では無いことをあらかじめ断っておくが、それを差し置いても、BMW、VW、メルセデスのドイツ御三家に於いては、少なくとも最近の車は見事にシートとステアリングが一直線に並んでおり、ペダルの配置も自然に足を伸ばしたところに存在する。小型車から大型セダンに至るまで一貫している。見事としか言いようが無い。
また、ジャガーやランドローバーなどの英国車でも、ドライビングポジションに違和感が出る様な事は無い。ドイツ車と真っ向勝負をしているのであれば、この辺は当たり前の事なのかもしれないと感じてしまう。

逆説的ではあるが、マツダの車が欧州的だといわれる原因の一つに、こういった基本的なドライビングポジションまでこだわるドイツ御三家と同じ臭いがする事も入っているのではないだろうか?

ちなみに、同じ欧州車でも、ジャーナリストの間で乗り味に大変評価の高かったフランス車、特にプジョー308に乗った時には、あまりにも大幅に左へオフセットされていたステアリングホイールには少なからず驚愕を覚えた。

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これはまさか、左手で操作することを前提としているのか?と感じたほどだ。せっかく小径のステアリングホイールにしているのであれば、もう少し右に寄せても何も問題は無いだろうに・・・

安全の為にも必須でしょう?

1トンを超える大きな機械を時速数十キロで操作するという、冷静に考えると大変な危険を伴う業務が「自動車の運転」なのだと言うことを、作っている側は真剣に理解しているのだろうか?と疑問に思っている。
機械を操作するという点に於いて、その操作性、特に緊急回避という安全性に関わる操作を行うためには、正しい操作姿勢は必須では無いだろうか?

片手で操作して良いというものでもないだろう。

ステアリングホイールを片手で保持していて、正確に操作できる筈が無いという事は、広い駐車場などで「8の字スラローム」でもやってみれば簡単に分かることだ。
自動車製造や販売に関わる人達には、是非気づいて頂きたい。

目の前に人や物や動物が飛び出してきたりした時に、咄嗟にどちら方向へでもステアリングを切って緊急回避できる、その為にこそ、正しいドライビングポジションというものが有るという大前提に、どうか立ち返って欲しい。

また、我々消費者は、こういった当たり前の事についての違和感を、メーカーに意見して改善させる事が出来る筈である。価格はもちろん、スペックや見た目の豪華さや快適性も重要だが、一番大切なのは、安全であり、疲れない操作性ではないだろうか?

ステアリングホイールを真正面に据える、という事に、さほど余分なコストは掛からないと思うのは、独善的過ぎるだろうか?

余談:ペダルも重要

今回はステアリングホイールに焦点を絞ったが、ペダルも同様に重要である。
ペダルについては、位置の他、形状についても、ドライビングポジションに於いて大変重要なポイントだ。

多くの車が上からペダルをつり下げているが、アクセルペダルは床から生えるオルガン式で右端にセットされ、ブレーキペダルが中央にある、という形が自然だろうと考える。
たったこれだけの事でもペダルの踏み間違い事故は減らせるのでは無いか?と思うのだが、この件についてはまた機会を改めようと思う。

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