真夜中のスーパーカーを観ただろうか?

真夜中のスーパーカー、というドラマ

先日、NHK-BSで放送された
『真夜中のスーパーカー』という番組を観ただろうか?

プロのレーサーによる迫力満点のレースシーンや、伝説の名車誕生の歴史に隠された秘密が明かされるスリリングな瞬間など、見どころ満載のファンタジードラマに乞うご期待!!

名古屋自動車博物館を舞台にしたファンタジータッチのドラマ
という触れ込みだったが

個人的には、
今の自動車業界に対しての意見というか提案が随所に盛り込まれていて
大変興味深かったと思う。

主人公は
私もいつか、乗って楽しくて
見てるだけでもワクワクするような
カッコイイスポーツカーをデザインしたい!

そんな夢を持つ、とある自動車メーカー
(と言ってもトヨタみたいな会社という設定)
で勤務する駆け出しのデザイナー女子。

実用車なんて面白くもなんともない!
自動運転車なんて乗る意味ない!

と断言する、そんな彼女は
真っ赤な86レビンを乗り回す走り屋という設定

しかもこの86が
ロールケージ入りで、カーペットもリアシートも無い
2シーターの本気仕様だったのがこだわりポイントか。

ダッシュボードのM2Y GARAGEというステッカーが気になるところ。

この主人公が、

本来、自動車とはどういうものか?
誰のために車は存在するのか?
車は今後どういう形になっていくべきなのか?
その為にデザイナーとして車や社会にどう向き合っていくべきなのか?

これらの答えを導き出すまでのストーリーが軸となっている。

冒頭で出てくる
「コンペに出した」という設定の
主人公がデザインした「ファミリー向けのスーパーカー」
というコンセプトイラストがなにげにカッコいいと思ったが。

売れる車をデザインする事が至上主義となっている大企業の中で、
自分が好きな車をデザインする事は当然認められる筈もなく、

やりたい仕事と与えられる仕事の狭間で悩み続ける日々が続いていたが、

当然、
その様な異端児は部署内では扱いにくい存在として目立ってしまい、

結果、
東京の自動運転開発部門へ飛ばされるという辞令を受けてしまう。

これで私のデザイナー人生は終わりか?
いっそのこと、会社を辞めてしまおうか?
子供の頃はもっと車に夢を感じていたのに・・・

そう悩みながらも心の支えになっているのが
「2000GT」の美しいデザイン。

子供の頃からのアコガレだったこの車を
一心不乱にデッサンすることから何かを学べないか?

どうすればこの様なワクワクする車をデザイン出来る様になるのか?

自動車博物館で悶々と悩んでいる所から物語が進んでいく。

モノに魂が宿る?

ドラマの中で一つのキーワードとなるのが
技術者が強い情熱と魂を込めて作った車には本当に魂が宿ってもおかしくない
という言葉。

これは古来、
職人の仕事には魂が宿ると言われている事にも通じている事で、

実際、
彫刻や仏像、絵画などで
その様な評価を見聞きすることが有ると思う。

これは車の様な工業製品でも、
全く同じなのでは無いだろうか。

たとえば

調子が悪いので買い換えようと思ったら突然快調になる。
愛車に新しい彼女を乗せたら調子が悪くなる。

・・・などという話は
車好きで有れば一度は見聞きした事が有るかもしれないし

そもそも八百万の神々
という文化で生まれ育った我々日本人にとって、

工業製品に魂が宿っても
全く不思議とは思えないかもしれない。

そこで、実際に、
職人が精魂込めて作った車に魂が宿って
その魂が人の形を持って現れたら・・・

というのがドラマに繋がっていくのだが
この後の展開は是非ドラマを観て貰いたいと思う。

ワクワクする車が無い。

ドラマ中で「時代の要請」という言葉が何度も出てくるが、
これがこのドラマで訴えたい一番大きなポイントかもしれない。

時代のニーズに合わせて商品を作る

商売としては当たり前の事だが
本当にそれで良いのだろうか?

もっとワクワクする車を作らないと将来は無いのではないか?
車のデザインというのは、もっと楽しいものでは無いのか?
そもそも、今の様な車を作り続けることに意味があるのだろうか?
そんなことの為に車メーカーに入ったのだろうか?

主人公は「デザイン」という切り口から
「車作りとは?」というテーマに悩む日々を送っている。

これは、
自分も含めた今のオトナが
なんとなく感じている事では無いだろうか?

転じて、
ワクワクする仕事も無い、という事に繋がり
主人公は悩む訳だが

単純に車のこととして考えたとしても

子供の頃に憧れた「未来の車」が、
いざ自分がその「未来」にやってくると
それらはむしろ遠ざかっていて

世の中に溢れるのは
面白くもなんともない「実用車」ばかり・・・

数字の上では空気抵抗も少なく燃費も良いし安全性も高く
居住性も高くて使い勝手もよく考えられている。

誰が聞いてもイイコトばかり。

それなのに、
60年台・70年台の車に
今でも強い魅力を感じるのは何故だろう?

なぜ、時代は進み、技術は進んでいるのに
あの頃の車を超えるようなワクワクする車を見かけないのだろう?

車作りというのは、
この方向性で良いのだろうか?

車を作っている側は
本当に車に情熱を傾ける事が出来ているだろうか?
それこそ、魂が宿る程に・・・?

若者の自動車離れ
等という情報操作に踊らされて
ますます車業界が盛り上がらなくなっている気がする中、

車って本来はもっと楽しいモノだよね?

という事を思い出させてくれる
意外な良作だったと思う。

ドラマとしては

ラストは意外にも・・・という展開だったが

久々に胸の空くようなドラマを観た気がする。

再放送があれば是非
車好きの人には特に観て欲しいと思う。

プロのレーサーによる迫力満点のレースシーンや、伝説の名車誕生の歴史に隠された秘密が明かされるスリリングな瞬間など、見どころ満載のファンタジードラマに乞うご期待!!
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